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AIIBの仕組みと問題点

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中国がAIIB(アジアインフラ投資銀行)という国際銀行を設立すると世界各国に参加を呼びかけ、日本とアメリカが参加を保留したことが、メディアを騒がせました。

では中国の構想したAIIBとは、どのような仕組みの金融機関で、どういう問題があるのか、分析してみます。

まずAIIBのような国際銀行の主な役割は、発展途上国のインフラ開発などに資金援助(お金を融資)することが主な役割です。銀行の設立には、世界各国が資本金を出し合い、多くの国が参加する公平中立な銀行だという体裁を整えます。世界銀行や欧州復興開発銀行、日本が主導するアジア開発銀行などの国際開発金融機関は全て、複数の国が資金を出し合う形を取っています。

アジアインフラ投資銀行の仕組み図

そして、発展途上国の道路や水道・電気、ダムや港湾などの公共投資を行う地元企業などに、お金を融資して開発の手助けを行います。これらの社会インフラは、本来はその国の政府が「公共事業」として税金を投入して開発すべきものですが、発展途上国では税収が少ないので、政府は慢性的に資金不足です。ゆえに世界銀行やアジア開発銀行などの国際機関が、資金を融資して国の発展を手助けするという仕組みです。

その際、世界銀行などの国際開発金融機関は、各国が出し合った資本金を元に融資を行いますが、それだけでは元手が不十分なので、債券を発行して世界中の投資家から、新たに資金を集める場合も多いです。ネット証券で「世界銀行発行・インドルピー建て債券」とか「アジア開発銀行発行・トルコリラ建社債」など、新興国の通貨建ての債券が売られていたりしますが、それらと同じ仕組みで一般の投資家に債券という形で資金を出して貰うわけです。

ちなみに投資家の立場で言うと、上記のような新興国の通貨建ての債券は5〜10%など非常に高い利息が付きますが、利回りの高さに惑わされると、大きな損失を出すリスクがあります。発展途上国のインフレ率は非常に高いので、為替差損が発生する問題があります。利息が高くとも日本円に戻す時に為替レートが円高に進んでいれば、実質元本割れするようなリスクがあるからです。

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中国が決定権を持つ為、シャドーバンキングの穴埋めに使われる!?

AIIBの最大の問題点は、中国が事実上の拒否権を持つことにより、不透明な融資に使われるリスクがあることです。AIIBの運営に関する投票権は出資比率に応じる為、中国が約3割を抑えることになります。そしてAIIBの運営では、重要事項の決定には75%以上の投票権が必要としているため、中国単独で議題を否決できることになり、事実上の「拒否権」も持つことを意味するのです。

拒否権を逆用すれば、他の国がそのプロジェクトに反対でも、中国が拒否権を発動すれば、プロジェクトが実行される事になりかねないのです。そして「アジアインフラ投資銀行」と名打ってますが、実質的にはどの国に資金援助を行うのかなど、詳細はブラックボックスのままです。

中国では現在、シャドーバンキング問題が蔓延っており、民間では地方のインフラ開発などで大量の不良債権が発生しています。即ちAIIBの融資先として、中国のインフラ開発に資金が回される可能性も否定できないわけです。ストレートに言えば、シャドーバンキング問題の穴埋めして、AIIBが世界各国や一般の投資家から集めた資金が流用されるリスクが、現状の仕組みでは否定できないのです。

麻生財務大臣は記者会見で「貸した金が返ってこない恐れがあるから」とAIIBへの参加見送りの理由を発言しました。これは問題発言でもなければ、麻生氏特有の派手な表現でもなく、本当に中国国内の不良債権処理に使われて、出資金が戻ってこなくなるリスクは十分あり得るのです。

 









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