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人民元の切り上げ問題

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中国の通貨である元(人民元)は、1994年に1ドル=5元台から8元台まで大幅な切り下げが行われました。輸出で儲けたい中国と、中国を安価な労働力として利用したい米国のクリントン政権の思惑が一致した為、このような大幅な切り下げがあったと言われています。そして98年から2005年6月までは、1ドル=約8.28元の固定相場制でした。

元が高くなると輸出で儲けている中国にとっては不利になるので、中国人民銀行が常時為替市場に介入して、1ドル=8.28元になるように調整していたのです。このため、中国の外貨準備高(※注)は年々増大しており、2005年6月の段階で世界第二位の約7000億ドルにも達していました(外貨準備高世界一は日本の約8000億ドル)。
※追記:2007年辺りで逆転し、現在は中国が外貨準備世界最大です⇒中国の外貨準備高

しかしこの為替レートでは、人民元の評価が低すぎると欧米各国、とりわけ米国から圧力が掛かり続けていました。90年代には安価な労働力を欲したアメリカも、米国内産業への悪影響の大きさと、世界経済における中国の強大化を恐れ、方針転換したことになります。

確かにこの人民元の水準は安すぎるという見方が支配的です。例えば世界銀行は、1ドル=8.28元というレートは、購買力平価で試算すれば約5分の1の安さだと試算しています(人民元の適正レートは幾らか?)。

そんな非難の声に押される形で、中国政府は2005年7月にようやく人民元の切り上げに踏み切りました。「通貨バスケット制」を導入し、ドルや円などの国際的主要通貨と連動するよう政策を変えていくことを明言しました。この時は2.1パーセント程度の切り上げが行われ、為替レートは1ドル=約8.11元になりました。

更なる為替の切り上げは外交カードとして

しかしその後のドル=元レートは大きな動きも無く、2006年6月現在で1ドル=8.02元程度で推移しています。この程度の上げ幅では到底為替摩擦を解消させるには至らず、アメリカなどの先進国は更なる元の切り上げ(政府の為替介入の減少)を求めています。特にアメリカは、対中貿易赤字が年々増大しており、2005年度は約1000億ドル(前年比約3倍)にまで膨れ上がる公算です。米国国内産業を支持基盤に持つアメリカの政治家の中には、不当な為替レートによって安くなっている中国製製品に対して、30パーセントという多大な関税を掛ける”経済制裁”を唱える議員も増えてきています。

それでも中国政府は、人民元の切り上げを強力な外交カードの一つとして利用する事を考えているようで、早急な切り上げを行うつもりは無いようです。特にアメリカとの外交交渉では、自国に有利な条件を引き出す見返りとして、人民元の切り上げを実行していくつもりです。

為替介入の為に莫大な外貨準備高(この場合は米国国債などのドル建て資産)を抱える事は、将来的な負債を抱える事に等しいのですが、輸出産業が経済発展の最大の原動力である以上、元高になることを喰い止める方が重要だと政府は考えているのでしょう。つまり、今後も元のレートは小幅な上昇を繰り返していくだけですから、当面は元高=ドル安相場が続きますが、実質的には元は安いままだといえます。

 

※注) 外貨準備高とは、為替介入の結果として入手する外貨建て資産のこと。為替介入とは、この場合、中国政府は元安=ドル高にしたい訳ですから、アメリカの外貨建て資産(通常はアメリカ国債)を購入して、その対価として人民元を渡す(売る)ことで、元の為替レートを安くします。 ⇒中国の外貨準備高推移








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