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経済危機に対する中国の景気対策

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サブプライム問題を発端とする世界的な金融危機により、2008年後半辺りから世界の景気は急激な悪化を辿っています。IMFやOECDなどの国際機関が、2009年度の世界のGDP成長率が、戦後初めてマイナス成長に陥ると予想するなど、自体は深刻化しています。

その為、G7やG20などの会合では、世界各国が景気浮揚の為の経済対策を打ち出す方向で協調体制を取ることが決められました。各国はそれぞれ財政出動を行い、政府主導で経済の需要を作り出し、景気の下支えをする計画を立てています。

そんな中でも、中国の財政出動(景気刺激策)は、その規模では群を抜いています。中国の景気刺激策の総額は、今後2年間で4兆元(約60兆円)と発表されています。金額ベースではアメリカの2年=約7870億ドル(約78兆円)には及びませんが、対GDP比ではアメリカが約2.8%であるのに対し、中国は約6.5%にものぼります。

この景気対策が効果を発揮し、中国のGDP成長率は2009年度もプラス6%を達成すると見込まれています。世界全体がマイナス成長、日本などはマイナス6%前後と予想されている中ですから、突出して優秀な数値です。

 
中国の景気対策の内訳(単位:億元)
道路・鉄道・電気などのインフラ整備 15000
四川大地震の復興対策費 10000
低所得者向けの住宅開発 4000
農村部対策 3700
技術開発・産業構造調整対策 3700
環境保護対策 2100
医療・福祉・教育対策 1500
合計 40000
 

道路や電気などインフラ整備(公共事業)がメイン

内訳を見ると、最も大きいのが道路などのインフラ整備費、次に2008年に起きた四川大地震の復興対策費です。三番目の住宅開発などと合わせる、総額4兆元の内の4分の3ほどは、いわゆる公共工事に該当します。

先進国、特に日本は社会インフラが既に完備され尽くしているので、公共事業を行ってもその場だけお金をばらまくに過ぎず、将来の役に立つどころか、維持管理コストだけで赤字になる「負の遺産」を残すケースが極めて多いです。

ところが中国は、上海や北京などの沿岸部は先進国並みに発展を遂げつつありますが、内陸部に行けばまだまだ道路や電気・水道などの社会インフラが未整備な所だらけです。景気刺激策として公共工事を行えば、そのまま中国の将来の経済発展に直結するものとなります。

また、中国はこの位の景気対策をしないと、経済が持たないとも言われています。確かにここ数年、中国は実質GDPで年率10%超の高成長を続けてきましたが、それでもなお、13億人という莫大な人口を養っていくにはぎりぎりだというのです。

上海・北京などの沿岸部と内陸部での所得格差が激しく、沿岸部の都市へ出稼ぎに来る労働者が大量にいるため、彼らの雇用を生み出す為に公共事業をどんどん行っていました。しかし、都市部の失業率が4%程度で推移していたのが、2008年の経済危機により10%近くにまで上昇しているという民間の統計も出ており、政府が公共事業をさらに増やして、雇用の受け皿を作り出すしかないのです。

四川大地震での失態や、チベットや台湾の問題など、中国共産党政府への反発は強まっています。もし経済政策に失敗して失業者を更に増やせば、いよいよ政府へ暴動の矛先が向く可能性が出てきます。13億人の国民を統率し、共産党政権を維持していく為には、(対GDP比で)世界最大の景気対策を打つ以外に選択肢はなかったともいえるのです。

 









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