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中国のシャドーバンキング問題について

BRICs辞典 > 中国 > シャドーバンキング問題

中国では2013年夏頃より、シャドーバンキング問題が新たに浮上して、経済に不安を与えています。シャドーバンキングとは、銀行などの金融機関が、融資規制を迂回するために「理財商品」を介して、不動産への融資を行うシステムの事です。これが中国の不動産バブルの原因となっているのです。

丁度、アメリカ経済を揺がし、リーマンショックの原因となった「サブプライムローン問題」と酷似しています。シャドーバンキングの特徴をまとめると、以下の事が挙げられます。

  • ・シャドーバンキングの規模は推計で130兆円
  • ・シャドーバンキングの原資は、理財商品と呼ばれる投資信託のような商品
  • ・理財商品だけでなく、地方政府の運営する融資平台の存在も、不動産バブルを助長している
  • ・理財商品の投資家は中国国内のみだが、バブルが崩壊すれば世界経済へも悪影響は及ぶ
  • ・中国政府は景気後退を恐れて、金融引き締め(バブル潰し)が遅れている
  • ・バブルが崩壊すれば、中国政府がその穴埋めに人民元の切り下げを行う可能性がある

そして残念なことに、シャドーバンキング問題を穏便に収束させる、即ち中国の不動産バブルをソフトランディングさせることは、非常に難しい情勢になっています。その理由は、不動産バブルを助長しているのは、シャドーバンキング(理財商品)への投資マネーだけでなく、「融資平台」と呼ばれる地方政府の運営する投資会社も絡んでいるからです。

中国で貧富の差が激しいことは知られていますが、これは何も一般国民だけの話ではありません。各地域の地方政府も、その地政学的条件によって、財政状況の差が非常に激しいです。地方経済の景気浮揚策として、また地方役人の私的利権のために、融資平台を通じた不動産投資が盛んになっているのです。逆に言えば、地方政府は自らの意志で不動産融資を止める気は、全く無い状況なのです。

そして中国全体で見ても、不動産投資を抑制することは、経済の急減速に繋がるリスクが高いです。中国のGDP内訳を見ると、不動産などの公共投資が属する「総固定資本形成」の割合が、他国と比べて突出して多いことが分かります。中国の経済成長は、過剰な不動産投資によって支えられていると言っても、過言ではないのです。このような経済的事情があるから、中国政府は金融引き締めに及び腰になり、不動産バブルが一向に収まらない情勢なのです。


不動産バブルをソフトランディングさせる政策は?

中国がシャドーバンキング問題をソフトランディングさせるには、二つの政策が必要となります。一つは、不動産バブルを抑制するために、新たな規制を設けることです。金融引き締め(利上げや預金準備率の引き上げ)は、不動産投資以外の経済にも悪影響が及ぶので、別の方法を考える必要があります。現状で最適と思われるのは、不動産に対する固定資産税の導入で、これだと不動産投資だけにブレーキを掛けられ、シャドーバンキング潰しにだけ機能する規制となるはずです。

もう一つの必要な政策は、内需拡大です。前述のGDPの構成比を見ると、中国は個人消費の割合が、他国と比べて極端に低いです。不動産投資頼みの経済成長から、内需拡大〜個人消費を増やす政策へとシフトする必要があるでしょう。個人消費の割合を増やすには、中間所得層の拡大が不可欠です。また中国人は、非常に貯蓄好きな国民性で知られますが、この理由は国の年金や保険制度が不十分な事も関係しています。中国政府が、年金制度や保険制度を拡充し、国民が過剰な貯蓄をする必要がない〜その分消費に回せるように、誘導する必要もあるでしょう。

少なくとも、シャドーバンキング崩壊による景気の減速を、人民元の切り下げによる輸出促進で補うという「愚策」は、行うべきではないでしょう。米国債の売却を脅しにすれば、人民元の切り下げをアメリカに容認させることは可能かもしれませんが、世界から強烈な反感を持たれることは避けられません。閉鎖的・独裁的で自由のない国だと蔑まされ、世界各国の中国離れも加速するはずです。内需拡大を疎かにして、外需頼みの経済成長を続けていれば、いつまで経っても発展途上国の域を出ることは出来ないのです。

 









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