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インドの自動車市場(シェア・販売台数)

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2009年には中国の自動車販売台数が、アメリカを抜いて世界最大となりました。そして将来的には、インドが中国を抜いて最大の市場となる可能性があります。インドの年間自動車販売台数は248万台(09年4月〜10年3月期)と、中国の1350万台(09年1〜12月)と比べて5分の1以下に過ぎません。しかし21世紀半ば頃には、インドの人口は中国を抜き17億人まで膨らむと予想されており、経済発展と相まって自動車市場が拡大するのは自明の理です。

2008年時点のインドの自動車市場におけるメーカー別シェアは、日本のスズキの子会社に当たる「マルチ・スズキ」がトップ。以下、地元のタタ自動車、韓国の現代らが続きます。そしてグラフから分かるように、世界シェア最大を争うトヨタやホンダ、フォルクスワーゲンやGMなど、巨大メーカーは全くと言っていいほど売れていません。

2008年インドの自動車シェアグラフ 2009年インドの自動車シェアグラフ
※2008年データはMagXBusinessより引用。商用車も込みの割合。
2009年度は週間東洋経済より引用。1〜10月までのデータ。商用車込みかどうかは記載無し。

自動車販売が伸びない理由

トヨタやホンダなどの大手メーカーは、まだ本格的にインド市場に力を入れていません。インドの自動車市場が、まだ離陸段階にすら至っていないと見ているのでしょう。その理由は主に二つ挙げられます。

一つはインド人の平均所得が、まだまだ自動車を購入するレベルにまで至っていないことが挙げられます。2008年時点のインドの一人当たり国民所得(GNI)はわずか950ドルで、中国の2360ドルと比べても明らかに少ないです。これでは先進国と同じような、車一台1万ドル以上というような商売はできません(日本の一人当たりGNIは3万7千ドル)。

しかしこの状況は変わりつつあります。タタ自動車が一台10万ルピー(約2千ドル)の自動車「ナノ」を発売したことで、インドの庶民でも手が届くレベルにまで近づいたからです。ナノの増産体制が整えば、インドの自動車普及率は一気に高まる可能性があります。

しかし、いくら価格破壊が起こっても、マーケットが中々拡大しないもう一つの理由が言われています。それは、インドでは道路や橋など交通インフラ整備が圧倒的に遅れていることです。田舎では車が走れないような未舗装の道路が多く、一方で都心部では自転車や二輪車だけでなく、牛や象までもが入り乱れることで大渋滞が起こっています。

信号機や道路標識などが不十分なことも、渋滞を巻き起こす原因となっています。それと同時に、インドの人々の交通マナーが悪いことや、交通に関する法整備が未成熟な点も問題です。タタ自動車のナノに運転席側しかサイドミラーが付いていないのは、インド人が車の安全にルーズなこと(車同士がこすれ合っても平気で運転してます・・・)と、サイドミラーが片側だけでも法律上OKだという、先進国の車社会ではありえない状態だからです。道路整備と交通ルールの改善が急ピッチで進まない限り、自動車市場にとっては大きな足かせとなるでしょう。

しかし筆者は、そんな未成熟なインド市場こそ、自動車メーカーにとって最大で最後のフロンティアになるだろうと思っています。先進国では人口減少で販売台数は伸びないでしょうし、中国市場は外資規制が多く、しかもすでに数十社のメーカーが激しく凌ぎを削る群雄割拠の状態です。

ところがインドでは、まだまだ本格参入しているメーカーは少ないです。確かに現在ではスズキが圧倒的シェアを押さえていますが、これはあくまで1981年という早い段階から参入していた先行者利益の部分が大きいです。スズキはハイブリッドや電気自動車など、最新鋭の技術力ではかなり後れをとっており、またタタ自動車ほど圧倒的なコストパフォーマンスカーを出しているわけでもありません。

競争が激しすぎる中国や、ブランドシェアが固まってしまっている先進国と違い、インドでは市場の拡大と各社の戦略次第で、マーケットシェアが大きく入れ替わる可能性が高いです。世界の自動車メーカーにとって、長期的には中国以上に大きな可能性を秘めた市場なのです。

 









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