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インドの経済成長を支えるIT産業

BRICs辞典 > インド > インドのIT産業の拡大

インドのGDP(国内総生産)に占めるIT産業の割合は、04年度には4パーセント超になったとの試算が出ました。主力であるソフトウェアの輸出だけで、170億ドル超を稼ぎ出しています。日本人の感覚では、インドという国は、ヒンズー教やカレーなどアナログチックなイメージが強いと思いますが、実際は近年で最も目覚しいIT産業の発展を遂げている国なのです。

旧来インドでは、厳格な身分制度(カースト制)が原因で、貧困層の人が経済的に豊かになることは極めて困難でした。しかし、近年急成長を遂げているIT系企業には、身分制度に関係なく、能力に優れていれば就職〜昇進できる企業が増えてきており、下級身分の子供達に夢と希望を与えています。ブラジル人がサッカー選手になることで経済的成功を目指すのと同様、インド人は勉強に精を出して進学し、IT技術を学んで報酬の良いIT系企業に就職する事で、貧困から脱出を図ろうとしているのです。

インドはBRICs諸国の中でも、最も知的技術に優れた潜在能力を備えていると言われています。その最大の理由は、インド人が英語に堪能なことにあります。インドの母国語はヒンドゥー語ですが、英語が事実上の第二母国語となっており、特に南部の都市などでは英語での会話が主流になっていて、ヒンドゥー語があまり通じないという現象まで起こっているようです。

インドはまた、理数系の能力に優れており、伝統的に知的センスに富んだ国家なのです。古代インダス文明には、下水の排水設備や川の氾濫を利用した農耕など、知性溢れる繁栄があったと言われています。また「0(ゼロ)」の概念の発見、円周率「3.14」の発見、二次方程式の確立・・・これらの数学的発見は、全てインド人が定義したものです。

アメリカなど外資系企業へ人材が流出

近年では欧米企業、とりわけアメリカでは、インド人のIT技術者を雇うケースが激増してきています。英語力にもIT技術にも精通している上に、人件費(賃金コスト)がアメリカ人よりも安く済むので、インド人を積極的に採用するIT企業が増えているのです。

また、顧客の電話対応をするサポートセンター(コールセンター)をインドに置くアメリカの大企業が、近年急増しています。通信コストの低下、インド人の人件費の安さ、そしてインド人の堪能な英語力が、コールセンターの国外外注(アウトソーシング)という一見無謀とも思える企業戦略を可能にしたのです。

逆にインドの国内経済の観点からすれば、優秀な人材が欧米諸国に流出して、空洞化現象が起きつつあるとも取れます。飛躍的な経済成長を遂げているとはいえ、IT産業の知識・技能を生かす為の土壌がまだまだ整っていません。インド国内の産業構造は、統計上は第三次産業(サービス業)がGDPの50%超を占めていますが、これは単に社会が未発展で、食料品や衣類などの必需品の売買が産業の大半を占めていることや、工業・製造業がまだまだ少ないことを意味しているに過ぎません。例えば2003年度時点で、インドのインターネット普及率はわずか1.7パーセントに過ぎないのです。

早く社会インフラを整えないと、優秀なインド人がどんどん国外へ流出していきます。カースト制やカシミール問題などばかりが注目されがちですが、数十年先の将来まで考えた場合、人材の流出こそがインド経済の最大の不安材料かもしれません。

 









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