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1998年のロシアデフォルトの内容について

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ロシアという国を知る上で、特にロシア株への投資を考える人にとって、是非知っておくべき歴史があります。それは1998年8月に起きた、国債のデフォルト(債務不履行)で、その内容について分析してみます。

80年代後半より、旧ソ連はゴルバチョフ書記長の下、ペレストロイカと呼ばれる経済改革を進め、社会主義からの脱却〜資本主義化を図っていました。ところが1991年に起きたクーデターを期に、ボリス・エリツィンが台頭し、遂には91年末に政権を掌握、ソ連の解体〜ロシア連邦の設立にこぎ着けました。

しかしエリツィンは、所詮はゴルバチョフを貶めて地位を得た成り上がり者で、はっきり言って無能でした。90年代前半のロシアのインフレ率は凄まじく、社会主義と資本主義の狭間で経済は混乱を続け、国民生活は疲弊していきます。この時期、ロシア人の平均寿命〜特に男性は50歳代にまで低下したことが、当時の経済が如何に厳しかったのかを物語っています。

そんな経済の疲弊と、エリツィンの無能が極限に達したのが、1998年でした。まず1月に、通貨=ルーブルが1000分の1のデノミが実施されます。ロシア連邦建国以来の高インフレに対処するためですが、同時に政府債務の圧縮(借金(国債)の実質的な棒引き)という意味も込められていたことは言うまでもありません。しかしこのデノミで、海外からはおろか、ロシア国民からも政府の信頼は地に落ちることになります。

ルーブルという通貨の信任が崩れたことで、国債の借り換えが困難となり、7月にはIMFや世界銀行などから資金援助を受けることになります。しかしそれでも、ロシア国債の暴落は収まらず、またエリツィンがロシア議会をまとめられずに対応策が打てなかった事も拍車を掛け、政府の財政難はいよいよ解決不能な域に達します。

そして1998年8月17日、ロシア政府は国債のデフォルトを宣言しました。デフォルトの内容は「90日間の債務支払いの停止」および「99年末までに満期を迎える短期債を長期債へ強制乗り換えする」というものでした。また、同時にロシア国内の銀行で預金封鎖が行われ、政府債務の圧縮が国民資産の没収という形で相殺されました。ちなみにこの預金封鎖の影響で、ロシア国内では暫くの間、国民はルーブルという通貨を一切信用しなくなり、街では米ドルなど他の通貨が流通していた位です。

原油価格の高騰とプーチン登場がロシア経済を救った

ロシア経済が息を吹き返したのは、1999年末にエリツィンが失脚し、ウラジーミル・プーチンが大統領に就任してからです。経済発展の主な理由は、デノミとデフォルトで政府の財政が健全化したことや、原油や天然ガスなどが高騰し始めて、ロシア経済最大の産業であるエネルギー企業が急成長を遂げたことが挙げられます。しかし、大統領が無能なエリツィンから、強烈なリーダーシップ(良くも悪くも)を持ったプーチンに交代したことも、大きな理由だと言えるでしょう。まとめると、ロシアがデフォルトから立ち直ったことは、

 ・原油や天然ガスなどの資源価格高騰の恩恵を受けたこと
 ・プーチンが独裁的に権力を(ロシア経済にプラスなように)振るえたこと

という2点が大きかったのです。逆に言うとこの二つの内容が無ければ、ロシアがデフォルトから立ち直り、BRICsの一角として賞されるほどの経済発展は、ありえなかったとも言えます。ロシアへの投資を考えている人は、この国の経済が極めて偏った力で回っており、非常にリスクが高いという事を頭に入れておくべきだと思います。再び経済が落ち込めば、デフォルトや預金封鎖が再現されないとも限らないのです。

 

 






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