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原油価格の高騰の恩恵を受けるロシア経済

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2004年度の実質経済成長率が7.1パーセントに上るなど、近年ロシア経済は好調です。実はこの好景気の原因は、原油高をはじめとする、近年のエネルギー資源の価格高騰によるところが大きいのです。つまりロシア国内の産業が、順調に発展しているというわけでもないようです。

石油というと、日本人の多くがサウジアラビア等の中東諸国を思い浮かべると思いますが、実は原油生産高が世界一なのは、何を隠そうロシアなのです。近年の原油価格の高騰は、石油輸出国であるロシアに莫大な富をもたらしています。石油の生産のコストは一切変わらないのに、販売価格が年々上昇しているのですから、まさしく「棚から牡丹餅」的に大儲けできている訳です。⇒原油価格のチャートと時系列データ

さらにロシアは、天然ガスに関しても生産量・埋蔵量ともに世界一を誇っています。原油価格の上昇は、エネルギー資源全般の価格高騰を呼び、ロシア経済にとっては2重の、強烈な追い風となっています。ましてやロシアは、国土面積はダントツで世界一なうえに、その大部分がシベリアなどのまだ未開発の土地です。今後さらに油田・ガス田などが発見される可能性は十分あるでしょう。

そしてこの原油高・エネルギー資源高は、しばらく続くと予想されます。急激な工業化が進んでいる中国での需要の増大や、原油埋蔵量世界第2位のイランがアメリカと緊張状態にあることなど、解消のめどが立たない原因が多い為です。

石油頼みの経済成長は大いに疑問

但し、このようなタナボタ的な要因に依存したロシアの経済成長は、非常に危ういものだといえます。原油価格の高騰は中国での需要だけが原因ではなく、世界中の投資マネーが株式市場から商品市場へシフトしてきていることも要因と見られています。つまり、原油取引はヘッジファンド等によって投機対象にされ、必要以上に高騰している側面も大いにあるのです。アメリカの株式市場が再び上昇気流に乗れば、投機マネーが商品市場から株式市場に戻り、原油価格は暴落する危険性を秘めています。

また、独占的かつ不安定な国内情勢も大きな不安材料です。例えば、世界一の生産量を誇る天然ガスは、ガスプロム社という半国営企業が、生産量の約9割を占め、輸送網(パイプライン等)に至っては全てを独占しています。つまり天然ガス価格が高騰しても、その恩恵を受けるのは市場を独占しているガスプロム社に集中し、ロシア全体が潤う訳ではないのです。

ソ連解体後、資本主義・自由競争社会への転換を図ってきたロシアですが、まだまだ社会主義経済時代の独占的・閉鎖的な産業も多く、本当の意味での自由競争社会に至ってはいないのです。8パーセントを超える高い失業率も、そのことを雄弁に物語っています。

そもそもロシアは、一年の3分の1以上が雪で閉ざされる極寒の国ですから、暖房器具は必要不可欠です。一般庶民の石油・ガス消費量は、世界でもトップクラスに多いのですから、原油や天然ガス価格が上昇すれば、暖房コストが上昇して庶民生活を圧迫していきます。

現在のロシア経済の好景気は、あくまで「特需」に過ぎないのです。近年増加してきている国内の個人消費が今後も順調に伸びるように、さらなる内需拡大政策がロシア政府に求められています。

 








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