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サハリン2プロジェクトとは

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「サハリン2」は、ロシアにとって、そして我々日本にとっても重要なプロジェクトです。サハリン2とは、サハリン島(樺太)近辺の石油や天然ガスなどの天然資源採掘プロジェクトの総称です。島の北東部で石油・天然ガスなどを採掘し、それを南部のアニワ湾まで約800kmのパイプラインを建設して運ぶ事業です。

サハリン2は、エリツィン政権下の1990年代前半に大綱が決まったプロジェクトで、本来はロシア政府が権益を独占するはずの事業でした。しかし、当時はソ連崩壊直後の経済混乱期で、100億ドルと見積もられた総事業費を賄うのは当時のロシア政府には困難でした。そこで、プロジェクトを外資に売り渡すことにしたのです。

権利を落札したのは、オランダのロイヤル・ダッチ・シェル(世界第2位の石油エネルギー企業)と日本の三井物産、三菱商事、の3社でした。この3社で共同開発会社「サハリンエナジー・インベストメント」を設立し、資源の採掘に当たる契約をロシア政府と結びました。また日本の2社が経営に加わったことで、樺太から北海道までパイプラインを結んで、直接日本へ天然ガスを送る計画もされていました。

サハリンエナジーへの出資比率は、シェルが55%、三井物産25%、三菱商事20%で、開発にかかる総事業費を回収するまでは3社で利益を独占し、費用を回収した後はロシア政府と利益を折半する契約だったようです。1999年から実際の採掘が始まったものの、様々な要因で総事業費は約200億ドルにまで膨らみました。

ロシア政府の開発中止命令とガスプロム社

事業費の高騰という問題はあったものの、その後もプロジェクトは順調に進んでいました。しかし2006年の9月に突然、ロシア政府がサハリン2の中止命令を出したのです。名目は「パイプライン建設に伴う環境破壊」ということですが、その実は「国内企業のガスプロム社もサハリンエナジー社の経営に加えろ」という意図なようです。

ガスプロムは世界最大の天然ガス企業であり、同時にロシア政府が株式の過半数を取得している、いわば半国営の企業です(ガスプロムについて)。そのガスプロムを経営に加えろと言い出したという事は、つまりロシア政府がサハリン2の権益を取り戻したいと考えていることに他なりません。当然シェル、三井物産、三菱商事の3社は反対し、調整は難航を極めました。

しかし2006年12月についに、ガスプロムが74億5000万ドルでサハリン・エナジー・インベストメントの50%超の株を買収することが決定しました。最終的な出資比率は、ガスプロムが50%+1株、シェルが27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%に落ち着きました。

環境問題とロシア政府の関与の是非はともかく、この変更で日本のエネルギー政策が、また一歩後退することになりそうです。サハリン2では、日本のガス需要の10%超を賄える見込みでしたが、日本企業の出資比率が半減したことにより、それを実現するのは困難になったからです。

 








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